シュタイナー教育とは?その特徴や教育方法などについて簡単にそしてわかりやすく解説

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モンテッソーリ教育と比較されることの多いけど、シュタイナー教育いったいどんな教育なの?

シュタイナー教育は、子どもたちにとってどんなメリットやデメリットがあるのか、わかりやすくご紹介したいと思います。

私が校長として勤務していて小学校に籍を置き、シュタイナー教育を実施しているフリースクールに通っていたお子さんが在籍していたため、その教育内容にもとても興味を持っていました。

そんな経験も踏まえながら、まとめてみました。

目次

シュタイナー教育とは?簡単にそしてわかりやすく説明

それでは、さっそくシュタイナー教育の概要と子どもの成長の捉え方について、簡単にお話しします。

シュタイナー教育の概要

<提唱者>
ドルフ・シュタイナーシュタイナー教育は、オーストリアの哲学者であるドルフ・シュタイナーが提唱したものです。

<ヴァルドルフ学校>

実際の教育活動としては、1919年ドイツで「ヴァルドルフ学校」が設立され、シュタイナー教育がスタートしました。

<シュタイナー教育の根本的な考え方>

シュタイナー教育の根本的な考え方は、自らの意思によって、自由な生き方ができる人物を育てることです。そのために、一人ひとりの個性を尊重し、個人の能力を最大限に引き出すような教育を行なっています。

小さな子どもに対しては、刺激を減らし、安心して過ごせるような環境づくりを重視しています。家具には自然木のよさを生かしたもの、インテリアの色合いも温かみのあるもの、おもちゃは手作り。

カリキュラムや授業内容は、一般的な公教育とは異なり、独特の芸術教育などが知られています。

シュタイナー教育の七年期とは

シュタイナー教育 7年期

シュタイナー教育では、子どもの成長を7年周期の3段階で捉えています。

実際には3段階ではなく、その後も7年周期で人は成長していくとしていますが、ここでは、子どもの成長ということで、3段階までについて記述しています。

  • 第1七年期 0歳〜7歳 「からだ」
  • 第2七年期 8歳〜14歳 「こころ」
  • 第3七年期 15歳〜21歳 「あたま」

0歳〜7歳:「からだ」を育てる時期

この時期は、遊びなどのさまざまな活動をとおして、体をしっかりと動かし「想像力」「行動力」を育む時期としています。

体をたくさん動かすことで、自分の思ったような体の動きを経験させることができます。そうした経験が自分の「意思」を持つことにつながり、「想像力」や「行動力」の発達につながるということです。

周りの大人、特にパパやママからの影響を全身で吸収しながら成長する時期でもあります。

8歳〜14歳:「こころ」を育てる時期

この時期は、「感情」の動きが活発になるため、芸術的な味わいを持たせつつ「心」を育てる教育が大切であるとしています。

多くの芸術的な体験をとおして、子どもたちの「感情」が豊かに育てられていきます。9歳はシュタイナー教育では「9歳の危機」とも呼ばれ、自我の目覚めとともに不安定な時期を迎えます。

15歳〜21歳:「あたま」を育てる時期

この時期は「思考」を育てることが大切であるとしています。
抽象的・概念的な思考力は、この時期に育っていきます。

シュタイナー教育における特徴的な教育内容

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画像出典:東京賢治シュタイナー学校

エポック授業



全学年の1時間目に設けられている授業で、国語、算数、理科、社会を学びます。

ただ、一般の公教育と違うところは1時限あたりおよそ100分あり、国語なら国語で2〜4週間集中的に学ぶのです。

その授業はずっと座学ではなく、算数や国語の授業でも歌たり、踊ったりという時間もあり、集中とリラックスの組み合わせで進められていきます。

基本的に教科書はなく、エポックノートと呼ばれるノートに記録していき、そのノートが自分のオリジナルの教科書となっていきます。※高学年では教科書がある場合もある

フォルメン線描

直線や曲線に対する形の感覚を、フォルムを描くなかで身につけさせていきます。

はじめは直線や曲線から入り、学年が上がると対象、非対称など複雑な線のかたちを作り出していきます。

実際の授業では、教師を真似てたくさん身体を動かし、歌いながらクレヨンなどで描いていきます。

こうした作業をとおして、情緒の安定、生きることへの自信を育んでいくということです。

オイリュトミー

「美しいリズム」という意味で、音楽や言葉を身体をつかって表現していきます。

の芸術」とも言われる活動です。

「動き」をとおして「思考」を学ぶことで、子どもの感受性を豊かにし、心に調和をもたらすとされています。

このオイリュトミーはシュタイナー学校において幼稚園から高等部まで行われる大切な教科でもあります。

シュタイナー教育のメリット

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自らの意思によって、自由な生き方ができる人物を育てることを大切にしているシュタイナー教育には、子どもにとってたくさんのいいところがあります。

そのメリットを3つほどお話ししたいと思います。

個性を大切にしている

シュタイナー教育では、一人ひとりの個性を尊重することを大切にしています。

というのは、自らの意思で自由な生き方ができる人物を育てるためには、一人ひとりの個性を尊重して個人の能力を最大限に引き出す必要があるからです。

豊かな感受性が育まれる

シュタイナー教育では、芸術活動が根本にあるため、子どもたちの感受性が豊かに育まれていきます。

シュタイナー教育の特徴である、フォルメン描画やオイリュトミーといった活動などは、子どもたちの感性に直接的に働きかける活動です。

こうした活動を毎日のように続けているのですから、子どもたちの感性は常に刺激を受けていることになりますね。

教科を集中的に学習するエポック授業においても、そのノートの作り方などは、ある意味芸術そのものという感じもします。

自分らしい進路選択ができる

「高校卒業」=「大学受験」という公式ではなく、あくまでも自分らしさを生かした進路を自分で決めていくというスタイル。

シュタイナー教育では、高校の卒業資格は取れないため、大学受験に挑戦するためには卒業認定試験を受ける必要があります。

大変な面もありますが、このことは子どもが自分自身の将来のことを真剣に考え、自分らしい進路選択をする大切な機会が与えられているということでもあります。

それが大変だという考え方もありますが、ある意味ではとても素晴らしいメリットではないでしょうか。

シュタイナー教育のデメリット

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日本の一般的な教育とはカリキュラムやその方法が大きく違うため、「普通」という狭い価値観で捉えてしまうと、デメリットとして感じられることがらもあります。

ここでは、そうしたマイナス面と感じられるようなことがらについて4つほどお話ししたいと思います。

大学受験のことは事前に考えておく必要がある

シュタイナー教育は、文科省の定める学習指導要領に沿ったカリキュラムとは異なった独自のカリキュラムで学習を進めています。

したがって偏差値にこだわった受験システムなかに組み込まれてはいません。なのでもし、一般の大学受験を望んでいるのであれば、事前に検討しておく必要がありますね。

親が学校教育に積極的に関わる必要がある

シュタイナー学校の運営には、先生と保護者が力を合わせながら学校づくりをしていくという特徴があります。

もちろん保護者の関わり方の度合いについては、学校ごとに大きく違っているようですが、一般の公立の小中学校のPTA活動より、さらに一歩踏み込んだ活動となることが多いようです。

それを負担と捉えるか、またはいい機会と捉えるかによって、メリットにもデメリットにもなりうることがらかなと感じます。

場所が限られてしまう

自宅のそばにある公立の学校に比べ、シュタイナー教育を実践している学校はまだまだ少数です。

そのため、せっかくシュタイナー教育を受けさせたいと思っても、すぐに実行できるとはかぎりません。

保護者の中には、シュタイナー教育を受けさせたいがために引っ越しをするケースもあるくらいです。

学校の設置数、設置箇所が大きなデメリットであることは確かです。

卒業資格が得られない学校もある

小学校にしても中学校にしても、そして高等学校にしても、国から学校法人としての認可をもらえないことには、卒業資格を得ることができません。

もちろんシュタイナー教育の施設のなかには学校法人としての許可をとっているところもあるので、事前にしっかりと確認をしておくことが大切ですね。

学校法人でない場合には、一般の公立の学校などに籍を置きつつ、シュタイナー教育の施設に通うことになります。

高等学校については、国の「高等学校卒業程度認定試験」を受けて資格を取得することで、大学受験も可能になります。

お家でできるシュタイナー教育

自宅の近くにシュタイナー教育の施設がないけど、その良さを生かすために自宅で取り組む方も増えてきていると聞きます。

もちろん、シュタイナー教育の学校で行われているようなカリキュラムを自宅で、というわけにはいきませんが、その考え方を子育てに生かすことはある程度可能です。

ここでは、手軽にできることを3つほどご紹介したいと思います。

おもちゃはシンプルなつくりのもの

作りはできるだけシンプルで、天然の素材などを使った優しい感じが特徴です。

それは、シュタイナー教育では、おもちゃは子どもの想像力を広げていくものとして、とても重要な役割を持っているからです。

シュタイナー幼稚園でお馴染みの「お山のつみ木」は、形もふぞろいですが、天然木の雰囲気を残していて、とても温かみのあるものです。

また、ヴァルドルフ人形は、顔立ちにある意味、強い表情はないのですが、その分、子どもたちはさまざまな感情を想像しながら遊ぶことができます。

この画像は『クレヨンハウス』という、絵本・木のおもちゃ・オーガニックの通販専門店で販売せれているものです。

完成品ではなく材料のキットとなっているため、手作りが好きな方にとっては、作るところから楽しめる人形ですね。

部屋の環境づくり

私が以前お邪魔したことのあるシュタイナー教育を実践している幼稚園のイメージは、柔らかいピンクのベールに包まれた感じでした。

ピンクは体内の色をイメージさせ、子どもたちに安心感を与えるという考え方があるようです。

ただ、子ども部屋はピンクのカーテンが必要というようなことはなく、子どもを過度に刺激しないような雰囲気作りが大切なのだと思います。

おもちゃのところでも書きましたが、シュタイナー教育では、自然のものに対するこだわりがあります。

木製のおもちゃ、木の実や貝殻、草木染めの毛糸など自然の素材を大切にした部屋作りをこころがけるといいでしょう。

この棚は、おままごとやお店屋さんごっこなどに使うついたてです。

上の幼稚園での使い方のように秘密基地のような遊びの空間づくりにも向いていますね。

実際に日本で販売されている品物で、楽天などで購入できます。

パパママの関わり方

お家ではパパとママ自体が子どもにとっての大切な環境となります。ですから、パパやママ自身のシュタイナー教育への理解と実践が一番のカギとなることでしょう。

もし、お子さんがシュタイナー幼稚園などに通っているのなら、その教育法についての知識は自然と身につくと思います。

また、学校での教育にも積極的に参加することになるので、家庭での関わり方は自ずと身についてくるものと思われます。

でも、お子さんをシュタイナー教育の幼稚園や学校に通わせていない場合、その知識は本やセミナーなどを通して身につけていくことになることでしょう。

一般的にいわれていることは、幼児期は「からだ」をつくる時期なので、手足を使ってたくさん遊ばせることが大切ということです。

そのため、テレビやゲームなど頭を刺激しすぎるようなものは、この時期には制限したりもします。

音楽や歌なども、テレビやCDなどから聞かせるのではなく、大人が歌ってあげたり、簡単は楽器で演奏してあげることがよいとされています。

文字や数字を教えるのも7歳からという考えです。

日本のシュタイナー学校

シュタイナー学校

日本における教育の多様化の動きに合わせ、全日制のシュタイナー学校も増えるなか、現在では2校が学校法人を取得して活動しています。

全国の設置状況

全日制学校 7校
(日本シュタイナー学校協会の会員となっている学校)

幼児教育 60園以上

全日制学校

日本シュタイナー学校協会の会員となっている学校は以下の7校です。

北海道シュタイナー学園いずみの学校
(学校法人)
東京賢治シュタイナー学校
(特定非営利活動法人)
シュタイナー学園
(学校法人)
横浜シュタイナー学園
(特定非営利活動法人)
愛知シュタイナー学園
(特定非営利活動法人)
京田辺シュタイナー学校
(特定非営利活動法人)
福岡シュタイナー学園
(特定非営利活動法人)

まとめ

今回は、初めてシュタイナー教育についての記事を書きましたが、調べてみると今まで自分が持っていた知識の何倍もの素晴らしさが伝わってきました。

社会の多様化が激しく進んでいくなか、このような教育がさらに広がることで、教育の多様化につながっていって欲しいなと強く感じました。

(参考)
日本シュタイナー学校協会
日本シュタイナー幼児教育協会
マナカタ
『シュタイナーコレクション 子どもの教育』高橋巌 筑摩書房
『おうちでできるシュタイナーの子育て』クレヨンハウス
『0〜7歳を大切にするシュタイナーの子育て』クレヨンハウス

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